このページの要点
- 解約予告の日数と通知の方法は契約書で決まる。通知書には予告期間の終了日、明渡しの日、賃料の最終日を並べて書く
- 退去月の日割りは、入居月と同じ扱いに揃えると説明しやすい。前払い賃料の未経過分の精算も書面にする
- 立会いは確認の手段。応じられない場合は、写真・動画、チェックリストの照合など代替の記録を決めておく
- 残置物は借主または相続人の所有物。精算合意書には金員の範囲、返還の期限、清算条項を書く
退去は、解約の通知、退去日の決定、賃料の日割り、立会い、鍵の返却、残した荷物、敷金の精算が、短い期間に一度に動く場面です。どれか一つでも書面と運用が食い違うと、退去の日になってから「聞いていない」「そんな決まりはない」というやりとりが始まります。結論から言うと、退去の書面は、誰が、いつまでに、何を、どの方法で行うのかを項目ごとに分けて記録しておくことで、ほとんどの争いを予防できます。
このページでは、住宅の賃貸借を前提に、解約予告と退去日、退去月の日割り賃料、立会いと鍵の返却、残置物、そして退去の精算を書面にまとめる合意書の構造を整理します。原状回復の範囲と費用の考え方は住宅の原状回復特約と通常損耗、敷金の返還の時期と内訳は敷金・礼金・保証金の返還と控除の書き方で扱い、ここでは、それらを退去の手続の中でどう記録するかに絞ります。
解約予告と退去日:契約書の予告期間が出発点
借主が自分から契約を終わらせたいとき、その方法は契約に期間の定めがあるかどうかで変わります。民法617条1項は、期間の定めがない賃貸借については、各当事者がいつでも解約の申入れをすることができ、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から3か月を経過することによって終了する、と定めています。期間の定めがある賃貸借でも、民法618条は、当事者の一方または双方が期間内に解約をする権利を留保したときは、617条を準用すると定めています。実際の住宅の契約書では、この留保を「借主は、少なくとも○日前に解約の申入れをすることで、契約を解約できる」と書いて、予告期間を民法の3か月より短く定めるのが一般的です。
契約書の定め方としては、次の二つの形がよく見られます。一つは、予告期間(たとえば「○日前まで」)を定める形です。もう一つは、その予告期間に代えて、予告期間に相当する賃料を支払うことで、予告期間の経過を待たずに解約できるとする形です。後者は、予告期間を満たせない場合に、借主が即日に近い退去を選べる代わりに、その期間分の賃料の負担を明確にするものです。いずれの場合も、解約の申入れを書面で行うのか、電話でもよいのか、管理会社に出せばよいのか貸主本人に出す必要があるのかを、書き方として決めておきます。
借主からの解約と別に、貸主から契約を終わらせる場合には、借地借家法が適用されます。借地借家法27条1項は、建物の賃貸人が解約の申入れをしたときは、申入れの日から6か月を経過することによって終了するとし、貸主からの解約の申入れには、同法28条により正当の事由が必要とされています。定期建物賃貸借の場合は、借地借家法38条7項により、床面積が200平方メートル未満の居住用の建物で、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、借主が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難になったときは、借主は解約の申入れをすることができ、申入れの日から1か月を経過することによって終了します。この定めに反する借主に不利な特約は、同条8項により無効とされています。
解約の主体と、条文上の予告期間(住宅の建物賃貸借)
| 場面 | 条文 | 予告期間 | 書面で確かめること |
|---|---|---|---|
| 期間の定めがない賃貸借で、借主が解約を申し入れる | 民法617条1項2号 | 申入れの日から3か月 | 契約書に、より短い予告期間の特約があるか |
| 期間の定めがある賃貸借で、解約権を留保した借主が解約を申し入れる | 民法618条(617条を準用) | 契約書の定めによる(民法の3か月が基準) | 予告期間の日数と、予告に代わる賃料の支払の定め |
| 貸主が解約を申し入れる(普通借家) | 借地借家法27条1項・28条 | 申入れの日から6か月。正当の事由が必要 | 貸主側の解約事由と、財産上の給付の申出の有無 |
| 定期建物賃貸借で、やむを得ない事情により借主が解約する | 借地借家法38条7項 | 申入れの日から1か月(居住用で床面積200平方メートル未満) | 契約書に、この中途解約権に反する特約がないか |
退去日を決めるときは、解約の通知を出した日、予告期間の終了日、実際の明渡しの日、賃料の最終日、鍵を返す日の五つが同じ日とは限らない点に注意が必要です。この五つを退去の通知書に並べて書いておくだけで、日割りの計算と敷金の精算の基準日が揃い、後の争いが減ります。
退去月の日割り賃料:入居月と退去月で扱いが違う定めの読み方
民法614条は、建物の賃料は毎月末に支払わなければならないと定めています。ただし、この条文は任意規定ですので、契約書では「当月分の賃料を前月末までに支払う」といった前払いの定めが一般的です。前払いの場合、退去した月の賃料は、月の途中で契約が終わっても、すでに支払済みになっています。そこで、未経過分(退去日の翌日から月末まで)を日割りで返すのか、返さないのかが問題になります。
契約書の書き方では、入居の月は日割りで賃料を計算するのに、退去の月は日割り計算をせず、1か月分の賃料を全額払う、と定める例があります。国土交通省の標準的な契約書の様式では、1か月に満たない期間の賃料は、1か月を30日として日割計算した額とする旨の定めが置かれています。入居月と退去月で扱いを分ける定めは、貸主にとっては、月の途中の退去に伴う次の入居までの空室期間を補う意味があるものと説明されることがあります。しかし、借主から見れば、使っていない期間の賃料の負担になるため、他の条項との関係を含めて、消費者契約法10条の検討対象になり得ます。有効かどうかは条項の文言、金額の水準、説明の経過によって変わり、一律の結論を示すことはできません。
書き方の例(一般的な例) 退去月の日割り賃料の書き方
日割りの有無
理由入居月と退去月で扱いを分けると、借主に不利な定めとして争われやすい。双方向の日割りに揃えると、説明もしやすい。
前払いの未経過分
理由前払いの賃料は使用の対価であるため、使用しない期間の分を精算するのが、内容として整合しやすい。
退去日の特定
理由賃料の最終日と、敷金の精算の基準日を、明渡しの日に揃えるため。
退去の立会い:目的と、応じられない場合の手当て
退去の立会いは、貸主(または管理会社)と借主が、室内の状況を一緒に確認するための手続です。民法に立会いを義務づける規定はなく、契約書や運用で定められるものです。立会いの目的は、二つあります。一つは、入居時の記録と照らし合わせて、原状回復の範囲を確認することです。もう一つは、鍵その他の返還物を受け渡し、明渡しの日を確定させることです。国土交通省のガイドラインも、入居時と退去時に、貸主と借主の双方が立ち会い、チェックリストを活用して、写真を撮るなどして記録することを勧めています。
一方で、借主が、日程の都合や、貸主側との関係悪化などの理由で、立会いに応じたくない場合もあります。立会いを拒む借主に対して、貸主が「立会いをしなければ鍵を受け取らない」「立会いをしなければ敷金を返さない」とする運用は、民法622条の2第1項の「賃貸物の返還を受けたとき」という返還義務の発生時期と、整合するかを慎重に確認する必要があります。立会いは、室内の状況を確認するための手段であって、それ自体が明渡しの要件ではないからです。立会いが難しい場合に備えて、書面には代替の記録方法を書いておきます。
立会いをしない場合、または立会いが難しい場合の代替の記録
- 借主が、退去前に室内の全部屋の写真・動画を、日付が分かる形で撮影して、貸主または管理会社に送付する
- 貸主または管理会社が、借主が退去した後に室内を確認し、写真・チェックリストを作成して、借主に送付する
- 入居時のチェックリストと、退去時のチェックリストを並べて、相違点を一覧にして、借主に確認を求める
- 借主が指定する第三者(親族、代理人など)の同席を認めるかどうかを、あらかじめ決める
- 立会いの日程は、借主が複数の候補日から選べるようにし、日程調整の連絡の記録を残す
立会いをする場合も、当日に初めて請求書を見せられる、という運用は避けたほうが無難です。事前に見積書または内訳案を借主に送付し、立会いでは、その内容と室内の現況が合っているかを確認する、という順序にすると、立会いの場での口論が減ります。立会いの結果は、チェックリストに双方が署名し、写しを借主に渡します。借主が署名を拒んだ場合は、その旨と理由を記録して、署名拒否のまま写しを渡す扱いにすると、手続の記録として残ります。
鍵の返却:返還の基準日として記録する
鍵の返却は、民法622条の2第1項1号の「賃貸物の返還を受けたとき」の判断にかかわる、重要な手続です。鍵を受け取ることで、貸主は賃貸物の支配を回復し、敷金返還義務の発生時期が明確になります。鍵の返却の方法は、立会いの場での手渡しが一般的ですが、遠方に転居した場合や、立会いを行わない場合には、郵送で返却することもあります。
郵送の場合は、配達の記録が残る方法(書留、レターパックなど)を使い、返却した鍵の本数、種類、発送日を書面に書いて、貸主または管理会社に事前に連絡しておくと、受領の事実と日付を後から確認できます。鍵の本数は、入居時に交付された本数と照らし合わせます。入居時の本数が記録されていなかったり、合鍵の有無が曖昧だったりすると、紛失の有無をめぐって争いが生じます。入居時のチェックリストに、鍵の本数と種類を書いておくのが基本です。
書き方の例鍵の返却と明渡しの確認に関する条項
- 借主は、本契約が終了する日までに、本物件を明け渡し、貸主から交付を受けた鍵の全て(合鍵を含む。)を貸主又は管理会社に返還する。
- 借主は、鍵の返還を、手渡し又は記録の残る方法による郵送により行うことができる。郵送により返還する場合は、発送の日、鍵の種類及び本数を、あらかじめ書面により貸主又は管理会社に通知する。
- 貸主又は管理会社は、鍵の返還を受けたとき、その日を明渡しの日として記録し、借主に書面により通知する。
- 借主が鍵を紛失したとき又は破損したときは、借主はその旨を直ちに貸主に通知し、交換に要する費用は、借主の責めに帰すべき事由による場合に限り借主が負担する。
鍵の返却の日を、賃料の最終日と敷金の精算の基準日に揃える書き方です。鍵の交換費用の負担の考え方は、原状回復のページで扱っています。
残置物:退去後に残された荷物をどう扱うか
退去の日になっても荷物が残っている、という場面は少なくありません。借主が意図して置いていった場合、引越しの都合で運び出せなかった場合、借主が連絡不能になった場合、借主が亡くなった場合など、事情はさまざまですが、貸主が何をしてよく、何をしてはならないのかは、法律の枠組みの中で慎重に整理する必要があります。
まず確認したいのは、賃貸借が終了していても、室内の荷物は借主(または相続人)の所有物であり、貸主が当然に処分してよいわけではないという点です。法律の定める手続によらず、貸主が実力で借主を排除し、鍵を交換し、荷物を運び出す行為は、自力救済として原則として許されず、不法行為(民法709条)として損害賠償を請求される可能性があります。借主が亡くなった場合でも、民法896条により、被相続人の財産に属した一切の権利義務は相続人が承継するため、賃借権も室内の荷物も相続人のものになります。
契約書には、「契約終了後に借主が残した物品は、所有権を放棄したものとみなし、貸主が処分できる」といった条項が書かれていることがあります。この種の条項は、借主が荷物を残す意思で放棄を表示した場合と、連絡がつかないまま残された場合とを、同じ扱いにしてしまう点に限界があります。借主の意思表示がないのに、契約書の一般的な文言だけで放棄したものとみなすことは、借主の権利を制限する条項として、消費者契約法10条の検討対象になり得ます。条項が有効に働く範囲は、条項の文言、処分の方法、事前の通知の有無などによって変わります。
単身の高齢者などが亡くなった後の残置物については、国土交通省と法務省が、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表しています。これは、賃借人が死亡した場合に、賃貸借契約の解除と残置物の処理を、あらかじめ受任者との委任契約などで円滑に進めるための条項のひな形で、利用を法令で義務づけるものではありません。一般の住宅の契約書に、この種の条項を取り入れるときは、モデル条項の内容と使い方を、国土交通省が公表している原文で確認してから使います。
残置物をめぐる場面別の整理
借主が退去後も荷物を残している
起きがちなこと
- 連絡がつくのに、取りに来る日が決まらない
- 貸主が早く次の入居者を入れたい
書面での手当て
- 引取りの期限と方法を、書面で借主に通知する
- 期限後の扱い(保管の期間、費用の負担、処分の手順)を、事前の合意または通知で明確にする
- 処分する場合は、物品の一覧と写真を記録しておく
借主と連絡がつかない
起きがちなこと
- 荷物が残ったまま鍵が返却されていない
- 貸主が室内の状況を確認できない
書面での手当て
- 賃料の滞納の記録、連絡の試みの記録を残す
- 貸主が鍵を交換して荷物を運び出す自力の措置は、原則として許されない点を前提に、契約書の解除・明渡しの条項と手続を確認する
- 緊急連絡先や保証人に連絡する場合も、連絡の範囲を契約書の届出の範囲に限る
借主が亡くなった
起きがちなこと
- 相続人が分からない
- 室内の物の処分を貸主が迫られる
書面での手当て
- 賃借権や荷物は相続人に承継される(民法896条)ことを前提に、相続人への連絡の手順を決める
- 事前に残置物の処理を委任する契約があるかを確認する
- モデル契約条項のような仕組みを使う場合は、原文で内容を確認する
退去精算の合意書:何を、どこまで書くか
退去に伴う金銭と手続を、当事者間の合意として書面にまとめるのが、退去精算の合意書です。口頭のやりとりやメールが散らばっていると、後からどの条件で合意したのかが分からなくなるため、重要な条件は一つの書面に集約しておくのが有効です。合意書に載せる内容は、おおむね次の項目に整理できます。
退去精算の合意書に載せる項目
| 項目 | 書く内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 契約の終了と明渡し | 契約の終了日、明渡しの日、鍵の返却の方法 | 賃料の最終日と敷金の精算の基準日を揃える |
| 借主が支払う金員の範囲 | 日割りの賃料・共益費、原状回復費用など、借主が負担する項目と金額(または算定方法) | 請求の範囲を限定し、後から項目が増えるのを防ぐ |
| 貸主が返還する金員 | 敷金の残額、前払い賃料の未経過分の返還額と返還の期限、返還の方法 | 返還の時期と方法を確定する |
| 原状回復の確認 | 借主が負担しない範囲(通常損耗・経年変化・入居前からの不具合)の確認と、借主が負担する範囲 | 民法621条の原則に沿った範囲を確認する |
| 残置物の扱い | 引取りの期限、残った物の処理方法と費用負担 | 残置物をめぐる後日の争いを防ぐ |
| 連絡方法 | 精算に関する連絡の方法(書面、メール)と宛先、郵送先 | 連絡先の食い違いによる行き違いを防ぐ |
| 清算条項 | 本合意書に定めるもののほか、本件賃貸借及び退去の精算に関して、互いに債権債務がないことを確認する | 紛争の蒸し返しを防ぐ |
書き方の例退去精算に関する合意書の条項
- 貸主及び借主は、本件賃貸借契約が、○年○月○日をもって終了し、借主が同日までに本物件を明け渡すことを確認する。
- 借主が貸主に支払うべき金員は、明渡しの日までの日割計算による賃料及び共益費、並びに借主の負担とされる原状回復費用に限る。原状回復費用は、別紙の内訳書に記載した項目及び金額とする。
- 貸主は、借主から預かっている敷金から前項の金員を差し引いた残額を、明渡しの日から○日以内に、借主の指定する口座に振り込む方法により返還する。
- 借主は、通常の使用により生じた損耗及び経年変化並びに入居前から存在した不具合について、原状回復義務を負わない。
- 貸主及び借主は、本合意書に定めるもののほか、本件賃貸借及びその終了に関し、互いに何らの債権債務がないことを確認する。
日付・日数は「○」と伏せています。清算条項は、合意書に記載した範囲の外の請求を封じる効果があるため、合意の前に、請求し得る項目がすべて書かれているかを確認します。
合意書を作る際の注意点は、三つあります。第一に、金員の範囲を限定する書き方にするなら、後で判明する可能性のある項目(公共料金の最終請求、後日判明した設備の破損など)の扱いを、どう決めておくかを検討します。第二に、清算条項を入れる前に、借主が納得して署名できる内容になっているかを確認します。納得していないまま署名を求められると、後から合意の有効性が争われる原因になります。第三に、貸主、借主のほかに管理会社や保証会社が関与している場合は、それらの当事者を合意書の当事者に加えるか、別の書面で通知するかを決めておきます(保証会社の関係は家賃保証・連帯保証人・緊急連絡先の書面で扱います)。
退去から精算までの書面の流れ
- 退去の連絡解約の通知書、退去日の確認
予告期間の終了日、明渡しの日、賃料の最終日を、通知書に並べて書く。
- 退去の前立会いの日程調整、見積書または内訳案の送付
立会いに応じにくい場合は、代替の記録方法を決める。
- 明渡しの日立会い、チェックリスト、鍵の返却
鍵の返却の日を記録し、借主に通知する(民法622条の2第1項1号の基準日)。
- 明渡しの後室内の確認、残置物の扱い
残った物は、一覧と写真を記録し、引取りの期限を通知する。
- 精算内訳書、合意書の締結
金員の範囲と返還の期限を確定し、清算条項で区切る。
- 返還敷金の残額の返還
返還の方法と日付を、借主に通知する。
退去の場面で起きがちなこと
退去・精算の書面で起きがちなこと
- 解約の通知を電話で済ませ、予告期間の起算日が分からなくなる。通知の方法と宛先が契約書に書かれていない。
- 入居月は日割り、退去月は日割りなしという定めが、借主に説明されないまま、退去の月に初めて問題になる。
- 「立会いをしなければ鍵を受け取らない」運用になり、借主が鍵を郵送で返しても、返還の日の扱いが争われる。
- 借主が連絡不能になり、貸主が鍵を交換して荷物を運び出し、自力救済として不法行為の主張を受ける。
- 所有権放棄みなし条項だけを根拠に残置物を処分し、後から借主が、重要な書類や貴重品が含まれていたと主張する。
- 精算の合意書に清算条項を入れたが、後日判明した公共料金の最終請求が漏れ、請求の根拠をめぐって争いになる。
よくあるご質問
退去の連絡は、何か月前までにしなければなりませんか?
契約書の定めによります。民法617条1項2号は、期間の定めがない建物の賃貸借では、解約の申入れの日から3か月を経過すると終了すると定めていますが、住宅の契約書では、借主から解約するときの予告期間を、より短い日数で定めるのが一般的です。予告に代えて、予告期間分の賃料を支払うことで、予告期間の経過を待たずに解約できる定めを置く契約書もあります。契約書の解約の条項で、予告期間の日数、通知の方法、通知先を確認します。
月の途中で退去する場合、その月の家賃は日割りで計算してもらえますか?
契約書の定めによります。国土交通省の標準的な契約書の様式では、1か月に満たない期間の賃料は日割りで計算する旨が置かれています。入居月は日割りで、退去月は日割りをしないという定めがある契約書もあり、その場合は、定めの有効性が消費者契約法10条などとの関係で問題になり得ます。前払いの賃料の未経過分の返還を求められるか、契約書の賃料の支払時期の条項と日割りの条項を合わせて確認します。
退去の立会いを拒否したら、敷金は返してもらえませんか?
民法622条の2第1項1号は、賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたときに、敷金から借主の債務を差し引いた残額を返還するよう定めています。立会いは、室内の状況を確認するための手続であり、それ自体が明渡しの要件として条文に書かれているわけではありません。ただし、立会いを行わない場合は、原状回復の範囲の確認が難しくなるため、写真や動画の提出、貸主による退去後の確認と書面の送付など、代替の記録方法を決めておくのが現実的です。
退去後に残した荷物を、貸主が勝手に処分することはできますか?
貸主が、法律の定める手続によらず、実力で荷物を運び出したり処分したりすることは、自力救済として原則として許されず、不法行為(民法709条)として責任を問われる可能性があります。契約書に所有権放棄みなし条項があっても、その条項の有効性と、処分の方法、事前の通知の有無が問題になります。借主が亡くなった場合は、荷物も賃借権も相続人に承継されます(民法896条)。単身高齢者の死亡後の残置物については、国土交通省と法務省が公表しているモデル契約条項があります。
退去精算の合意書に署名すると、後から追加の請求を受けることはなくなりますか?
合意書に清算条項(本合意書に定めるもののほか、互いに債権債務がないことを確認する旨の条項)が含まれていれば、合意書に記載した範囲の外の請求は、原則としてできなくなります。そのため、署名の前に、請求し得る項目がすべて書かれているか、金額が確定しているかを確認することが大切です。後日確定する項目(公共料金の最終請求など)がある場合は、その扱いを合意書に別に書いておきます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の賃貸借への当てはめは、契約書の文言、物件の状況、当事者の事情によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov 法令検索(法令API)で確認した現行のものに基づき、まだ施行されていない改正は現行の内容として扱っていません。参考: e-Gov法令検索 / 国土交通省 / 消費者庁 / 法務省